人生には、苦渋の決断をしなければならない時というものがあるのかもしれません。
昨シーズン中のスティーブン・ジェラードこそ、まさにそんな真っ只中にいたのだろうと、私は思っています。
リバプールを愛し、コップから愛されたレジェンド、スティーブン・ジェラード。
リバプールを去る決断をした本意は、先々になって分かってくるだろう・・・と、私は以前書きましたが、アメリカでの生活も落ち着いてきたのでしょう、ジェラードは、徐々に心のうちを明かしはじめています。
本当は、リバプールに残っていたかった・・・と。
(SG)
私は、まだまだプレイできたけど、年齢的には、すべての試合に出場するというのは無理だったと思うよ。
昨シーズン、サブでいることは、決して楽しいものではなかった。
スターティング・イレブンに入れなければ、満足はできないよね。
リバプールが、チャンピオンズリーグで試合をするのに、私に出番がないという状況などね。
自分の周りで起こっていることを理解しようと、苦労もしたよ。
それは、私が利己的なのかもしれない。
でも私は、どの試合でも、全力を尽くしてきたんだ。
私は今、矛盾することを言っているかもしれない。
でも、ブレンダン・ロジャーズを助ける役割を任せてもらったら、私はリバプールに留まっていたよ。
プレイヤーとして全力でやってきたように、ブレンダン・ロジャーズを支えたつもりだ。
でも、その提案があったのは、私がクラブを離れると発表した後だったんだ。
私が最高の指導者になれるかは分からない。
2番、3番、4番目になれるかだって、分からないよ。
リバプールは、この夏、コーチ陣を入れ替えたね。
だったら、コーチ兼任として、残しておいてほしかったよ。
私はまだ、プレイヤーとして貢献できたし、控えとしてだってよかったんだ。
プレイヤーとしても、良き控えとしてもチームのためになれたと思うし、お金では買えないような、コーチとしての経験も積めたしね。
イアン・エアが、私の代理人と席につき、そういった条件が記載されていなかったことを知ったときには、とっても驚いたよ。
もし、私にコーチとして学ぶチャンスがあったなら、間違いなく、ここに残っていたさ。
何もかもが恋しいよ。
テレビのスイッチをつければ、そこには、5万、6万、7万と集まった観衆の姿がある。
その熱気を見るたびに、嫉妬さえ覚えるほどさ。
あの場所でのトレーニング、高いレベルでの戦い、私がスティーブン・ジェラードであったこと、リバプールのキャプテンであったこと。
その何もかもが恋しいんだ。
私は、スティーブン・ジェラードには、もっともっと言いたいことが沢山あるのだろうと、推測しています。
今回のコメントは、その一端だと思いますが、それでも心の発露と申しますか、何とも切ない気持ちになってきます。
コーチを任せてくれれば、控えでもよかった。
そこまで、思い詰めていたキャプテンを、なぜリバプールに引き留められなかったのか?
とても軽い言葉で表現すれば、「段取りが悪かった」ということでしょう。
しかし、そのような理由で、リバプール史上最高のプレイヤーをあっけなく手放してしまってよかったのか?
いまさらながら、疑問が残るばかりです。
ライバル、マンチェスター・ユナイテッドにあっても、ライアン・ギグス等をコーチ兼任でクラブに残す方法を採っています。
リバプールが手放したのは、誰あろうスティーブン・ジェラード。
失ったものは、あまりに大きい・・・と、私は思わざるを得ません。
とはいえ、スティーブン・ジェラードの体内には、いまでもリバプールを思う気持ちが、爆発寸前なほどに溢れている。
そのことだけは、疑いようもない事実だと言えましょう。