2026年3月、レジェンズの試合があるためアンフィールドに帰って来たユルゲン・クロップ前監督が、Liverpool Echoなどの取材に応じ、モハメド・サラーについて語りました。
その言葉は、栄光と葛藤のすべてを知る指揮官だからこそ紡げる、静かで温かさに満ちた回想でもありました。
クロップが語ったサラーへのメッセージ
金曜日の午後、アンフィールド・スポーツ&コミュニティセンター。
LFCファウンデーションのイベントの場で、ユルゲン・クロップさんは取材に応じました。
アンフィールドの5人制ピッチという、決して特別とは言えない場所で、ひとつの時代が振り返られることになったのです。
すでにクラブを去ったクロップさん。
モハメド・サラーもまた、今シーズン限りでリバプールを離れることに。
9年にわたりクラブの歴史を築いたその存在は、間違いなくレジェンドとして語り継がれていきます。
クロップさんは、その知らせを受けたときのことを語りました。
「選手とはメッセージのやり取りをしているよ。
ただ、あまり良くない時期には、あまり頻繁にはしないけどね。『顔を上げろ』なんて言葉は、あまり良く受け取られないものだから!」
「彼が去ると聞いて、そのあとで動画を見た。電話をしようか、メッセージを送ろうかと思ったんだ。連絡が取れるかどうかも分からなかったけどね。」
「その時に感じたことを送ったよ。
あのすべての歩みの一部でいられたことを、本当に嬉しく、誇りに思っている、とね。」
衝突も含めて築かれた関係
ふたりの関係は、常に穏やかだったわけではありません。
2024年のウェストハム・ユナイテッド戦では、ベンチでのやり取りが話題となったものでした。
しかしクロップさんは、それを特別なものとは捉えていないそうです。
「大きな衝突ではなかったよ。
ああいう場面でも、5秒後には『これは公の場でやることじゃない、やり直そう』と思っていたはずだ。」
「翌朝にはもう終わっていた。
私たちは一度もお互いへのリスペクトを失っていない。それが何より大切なんだ。」
また、サディオ・マネとサラーというスターを同時に抱えた難しさにも触れています。
「87分で彼を下げたときなんかは、彼は一瞬だけ私のことを好きじゃなかっただろうね。」
「彼とサディオが一緒にいた時期は挑戦だった。
特別な選手というのは、そういうものだ。違いを生み出す存在だからね。
…そうでなかったのは、ボビー・フィルミーノくらいかな。」
あのチームはとんでもなかった
クロップさんは、あの時代のリバプールを振り返ります。
「ポルトとのチャンピオンズリーグの試合を思い出してほしい。
何が起きたんだ?5-0か5-1か…もう数え切れないね。」
「彼らは昔から良いチームだ。それでも私たちはあの場所で、あの結果を出した。
全盛期のあのチームは、本当にあらゆる面で信じられないほど素晴らしかったよ。」
その言葉には、確かな実感がありました。
あの時代のリバプールは、非凡を当たり前にしていたように私は思います。
「チームとして、私たちはそれをやった。
ワトフォードに6-0で勝った試合のゴールなんて、『なんてことだ!』というものばかりだったしね。」
「でもそのあと、0-3で負ける。
そういう瞬間、時間が止まるんだ。そして何度も見返すことになる。」
サラーという「美しい映画」
今、クロップさんは外からその時間を見ています。
「今の私は外から見ている立場にいる。距離を置いた視点だね。」
そして最後に、サラーという存在をこう表現しました。
「モーの物語は、美しい映画だ。
本当に美しい映画なんだ。
ただ、面白くするためには少しの起伏も必要だ。
そして――あれはハッピーエンドの映画なんだよ。」
その言葉通り、サラーの9年は、ただの成功譚ではありません。
歓喜と葛藤、衝突と理解、そのすべてが織り込まれた時間だったのではないでしょうか。
だからこそ、その物語は――
今もなお、多くの人の中で永遠に止まることなく再生され続けているのです。
リバプールにあった特別なチーム、そこにあった最強のチーム。
その姿を目撃できた私は、自分がいかに幸せだったかをかみしめるのです。