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可変性の中に立つ遠藤航──リバプールで揺るがぬプロフェッショナリズム

Wataru Endo

遠藤航は、どれだけ出番が限られても、その姿勢が揺るぎませんね。
チームの空気を曇らせることなく、練習での姿勢や振る舞いにおいてもプロの本質を示していると思います。
リバプールという巨大なクラブにあっても、遠藤は“プロフェッショナルの模範”であり続けている姿勢が明らか。

スロット体制と「可変性」を中心にした戦い方

スロット監督が目指すフットボールの中核には、ポジションの「可変性」があると私は考えています。
攻守の切り替え、ビルドアップの形、サイドと中央の使い分け──
選手が状況に応じて立ち位置を自在に変え、構造そのものを変化させていく戦術です。

この可変性と連動性を成立させるため、スロット監督はある程度のスタメン固定を好む傾向があることは事実だろうし、フェイエノールト時代でも11〜13人の選手を軸にして戦うスタイルを貫いてきました。

その流れの中で、遠藤は必要な戦力でありながら、必ずしも毎試合の中核には置かれていません。

アンカーに求められる役割の変化

現在のスロット・リバプールがアンカーに求めているのは、

  • スピード
  • 広範囲のカバーリング
  • ビルドアップの起点になる前進力・推進力
  • 可変システムの中での柔軟な立ち位置の変化
  • 深い位置からでも前線へ向けてボールを単独で運べるスタイル

こうした動的な能力のように私は思っています。

一方、遠藤の武器は、

  • 対人守備の強さ
  • ゾーンを守る安定感
  • 試合を落ち着かせる経験値など

いわば静的な安定をもたらすタイプであり、いまの可変ビルドアップとの相性が、少し噛み合いにくくなっているのが現状です。

しかし、価値が減少したわけではありません。
むしろ、試合が荒れたときやゲームが安定しないとき、遠藤の存在はチームのブレーキ役として頼りにされる瞬間が必ずあります。

“出番がない”は永遠ではない──冬の過密日程が鍵

年末から年始にかけて、リバプールは過密日程を迎えます。
今後、FAカップも入って来ることも見えている。
このタイミングでは、スロット監督であってもターンオーバーは不可避になることでしょう。

さらに遠藤は今、フレッシュな状態にあります。
ワールドカップを控えた彼にとっても、ここから出場機会を増やしたいタイミングです。

スロット監督の求める可変性が強まる中でも、コンディション的に疲弊していない遠藤を使わない手はない。
これは監督にとって自然な判断になるはずです。

遠藤は移籍すべきか、それとも残るべきか

客観的に見れば、遠藤が主軸としてプレーできるクラブは他にもあります。
プレミアリーグのチームであったとしても、遠藤が欲しいというチームは複数あるはず。
アンカーとして不動の地位をつかめる可能性も決して小さくありません。

それでも私の本音としては──
遠藤にはリバプールに残ってほしい。

可変性を重視する新しいチームにこそ、揺るぎない経験値と安定感を持つ選手が必要だと思うからです。

ただし、遠藤自身が新天地での出場機会を強く望むなら、
その選択を尊重すべきだとも感じています。
出番が減少する中、それでもチームのために!と常々言っている言動を見れば、遠藤の幸せを祈るしか私にはないのです。

可変性の中で、変わらない価値を持つ男

現代フットボールは可変性の時代へと進み、求められる役割も絶えず変化しています。
しかし、どんな戦い方が主流になっても、
数字に表れない価値を持つ選手は必ず必要とされます。

遠藤航はまさにその象徴ではないでしょうか。
彼が示し続けているプロフェッショナルとしての姿勢こそ、リバプールにとってかけがえのない財産です。

彼がどの道を選んでも、その価値は揺らぎません。
少なくとも、間違いなく言えることがひとつあります。
遠藤が、今後どんな道を選んだとしても、私は航を応援し続けるということです。

ぜひ、今一度アンフィールドで輝きを放ち、喝采を受け、チャントを響かせてほしいですね。

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Toru Yoda

ただの埼玉の隠居です

Liverpoolのことを書き続けて幾年月
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