
リバプールというクラブを語るとき、必ず出てくる言葉。
それが “走る” という文化だと私は思っています。
現代フットボールでは、多くのクラブが走力を重視します。
しかし、リバプールのそれは単なるフィジカル勝負とはまったく違うものがありますね。
「走る」ことは、チーム全体の哲学であり、クラブの魂そのものと言っていいほどです。
■ 古くから大陸型のスタイルを取り入れたリバプール
まだ、イングランドがキック&ゴーにこだわっていた頃。
いち早くリバプールは、大陸型のフットボールを取り入れていました。
簡単に言えば、パスをつなぎ、ドリブルを交え、崩してゴールを狙うパターンです。
このことについて詳しくは拙著「Liverpoolを愛するファンへ捧ぐ THIS IS ANFIELD」の中で触れておりますので、よろしければぜひご一読ください。
今回は、主にユルゲン・クロップ監督が持ち込んだもの以降の話となります。
■ なぜリバプールは「走る」ことにこだわるのか
ユルゲン・クロップさんがリバプールの指揮官に就任した当時、こんな言葉を残していました。
「走れないならフットボールはできない。だが、走った先に何をするかこそが大切だ」
まさにリバプールの本質を表す一言ですね。
リバプールに根付く“走る文化”には、明確な目的があるとも言えます。
それは次の三つかと。
- ボールを奪い返すための走り
- 味方を助けるための走り
- 攻撃を加速させるための走り
ただ走るのではない。
走ったその先に、チーム全体の狙いがあるというものです。

■ 走る文化は“伝承”される
リバプールがもつ特別さは、この文化が世代交代によっても消えないことだと私は考えています。
新加入選手も若手も、クラブに入った瞬間から“走る理由”を学び、実践する。
そうでなければ試合には出られない。
若手が早く成長し、一気に台頭していく理由――それもまた、この文化に秘密がありそうです。
■ “走るリバプール”はファンの誇りでもある
アンフィールドが最も熱気を帯びる瞬間は、決してゴールシーンだけではありません。
懸命に走り、ボールを追い、味方を助ける姿勢そのものが、スタンドを揺らす。
走ることへの敬意。
それはファンの誇りであり、クラブの歴史そのものだとさえ言えます。

■ いまのチームでも「走る文化」は健在か?
リバプールがプレミアリーグでの栄光を勝ち取るまでには、何度かの新陳代謝がありました。
新世代の選手が中心となるとしても、リバプールの哲学は揺るがない。
走る意味を理解し、その価値を体現する選手がそろっているのです。
むしろ、時代に合わせて進化し続けているとさえ言えるように思います。

■ 走る文化こそが、リバプールの“永遠の武器”
技術面に変化が起こり、戦術が進化したとしても――
リバプールがリバプールであり続ける理由は、「走る文化」にある。
私は、そう思っています。
走る先に、勝利がある。
それこそが、クラブの強さの源泉であり、永遠に受け継がれる哲学なのではないでしょうか。
守備から攻撃へ!瞬く間のカウンター炸裂!
相手ボールになれば鋭いダッシュを敢行するゲーゲンプレス!
瞬時に具現されるプレイスバック!
仲間を生かすフリーランニングの美しさ!
だから、リバプールファンはやめられません。
強さの中に美しさをも秘めたリバプールの走るフットボールは、きっとこれからも生き続けることでしょう。
何よりファンが、それを望んでいるのですから。
