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私自らの足りないところを振り返る スター獲得は万能薬ではない:今夏の補強から考えるリバプールのチーム作り

Why Signing Superstar Players Doesn't Always Make a Team Stronger – And What Liverpool Really Needs

スター選手を獲得すれば、チームは自然と強くなる——。

そう思いがちですが、実際にはもっと複雑です。

むしろ、ビッグネームを迎えることでチームのバランスが揺れることすらあるものだと思うのです。

今夏のリバプールを振り返っても、この「名前」と「強さ」の関係について考えさせられる瞬間がありました。

それは即ち、私自身の考えが浅かったのではないか?という自問を連れて来たのです。

スター選手=即戦力か?

スター選手は、圧倒的な個の能力や試合を決める力を持っています。

しかし、どれほど才能があっても、チームの戦術、役割、連動性と噛み合わなければ、その力が十分に発揮されないことがあります。
無論、本来の実力を発揮するまでには時間が必要となるケースも多いですね。

リバプールというクラブは、ただの「大物獲り」よりも、チーム全体の調和や哲学を大切にしてきた場所です。
そんなクラブでしたので、2025年夏に見せた大型補強の動きは、誰あろうリバプールファンそのものが驚いたものでした

大規模補強がもたらした期待と私の甘さ

今夏、リバプールファンは久々に胸が躍るような補強を目にしました。

「久々に」とは書きましたが、少なくとも近年では、これほど大規模な補強を経験したことはなかった。

ヴィルツ、イサク、エキティケ、ケルケズ、フリンポン——。

多くのサポーターが大きな期待を寄せたし、誰あろう私自身もその一人でした。

ただ、振り返ると、名前の大きさだけで“強くなる未来”を描いてしまった自分がいたことも事実なのです。
こんな自分を少しばかりの羞恥をもって私は振り返っています。

否定すべきものではないスター獲得

しかし、だからといって「スター選手の獲得が悪い」という話ではありません。

彼等の加入が将来的にリバプールを強くする可能性は十分にあるからです。

大切なのは、スター=成功、スター=危険という極端な見方をせず、適切な距離感で見ることだと私は思います。

もう一つの強化策:時間が育てる才能

リバプールには、若手育成というもうひとつの強さがあります。

それは、クラブの文化だと言ってもいい。

アカデミー育ちの選手、移籍金が高くない時期に加入し、リバプールで成長した選手達。

彼等は“育っていくスター候補”でもあります。

スターの獲得と若手の育成は、完全に相反するものではありませんが、出来上がった選手よりも丹念に育て上げた選手を登用していくこともまた、強いクラブになるためには必要不可欠なことのように思います。

今のリバプールに必要な視点

今季の課題を直視しようとすれば、補強だけでは解決できない問題があるように思います。

連動性、戦術理解、方向性——。

これらは大物を一人迎えたからといって、すぐに整い機能するというものではありません。

監督がプランを練り、選手達がそれを理解し、メンバーが同じ絵を描けるか?
ここが大切ですね。
理解力、適応力が優れている選手もおりますが、全員がそうであるとは限らない。
新しい環境に馴染み、素晴らしい才能を発揮するまでには、相応の時間を必要とするタイプもいることでしょう。

補強の難しさを示すいくつかの事例

スター獲得が必ずしも成功につながらなかった例は、フットボールの歴史の中にいくつもあります。

リバプールだけを見ても、アンディ・キャロルのように、クラブが大きな期待を込めて迎えたにもかかわらず、環境や戦術、怪我など複合的要因で本来の才能を出し切れなかったケースがあります。

これは彼が悪かったのではなく、

「優れた選手を“正しい文脈”に置けるかどうか」

というクラブ側が採るべき対応の難しさが浮き彫りになった例でもあります。

他クラブでも同じです。

例えば、マンチェスター・ユナイテッドのアンヘル・ディ・マリア、チェルシーへ行ったフェルナンド・トーレスなど、実力に疑いの余地さえない選手でも、フィットしないことは、時に起こり得るのです。
ここが、フットボールというチーム競技の難しさですね。

ストーリーの共有

今夏の補強で胸が躍ったことは、決して悪いことではありません。

ただ、名前に頼りすぎず、スターも若手も同じストーリーの中にあると見ること。

それが忘れてはならない視点ではないでしょうか。

同じ絵を描け、物語を一緒に紡げと言っても、それは言うほど簡単ではなく、一朝一夕にはならないものなのでしょう。

スター獲得は否定できないし、クラブの野心を示す行為でもある。

しかし同時に、

・過度に即戦力を求めすぎないこと

・これまで戦ってきた選手のモチベーションを損なわないこと

・若手の出番を確保すること

・選手間の確執が生まれぬよう、チームのハーモニーを守ること

こうした視点もまた、同じくらい重要だと思うのです。

そんな事どもをあれこれ夢想している私でありました。

いつも言っているようで恐縮ですが、リバプールというチームには、逆境を跳ね返す底知れぬパワーがあり、それを代々受け継いで来ています。

苦しい時期があったとしても、必ずや立ち上がる。

なぜか?それがリバプールだからです。

今はとても厳しい時期ですが、あんな時代もあったねと振り返れる時期がきっと来るし、ある意味私達は貴重な歴史の一頁を見ているのかもしれません。

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Toru Yoda

ただの埼玉の隠居です

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