
今から5年前のことになります。
具体的に言えば、2020-21シーズンのことで、ユルゲン・クロップ体制のリバプールは、悲劇的とも言えるセンターバックの危機に見舞われておりました。
CBのクライシスとアリソンの奇跡
その時期での出来事、
アリソンの奇跡的な一撃は、ただのゴールではありませんでした。
それは、リバプールが“かろうじて”未来をつなぎ止めた瞬間でもあったのです。
当時のリバプールは、ファン・ダイク、ジョー・ゴメス、ジョエル・マティプが相次いで戦線を離れ、中盤の選手を最終ラインに回しながら、失点の連鎖を食い止めようとする日々を送っていました。
具体的にはファビーニョであり、ジョーダン・ヘンダーソンをセンターバックに起用していたのです。
アンフィールドが“要塞”と呼ばれていた時代は遠ざかり、無観客のスタンドに響いたのは、ため息と戸惑い。
それでも、このシーズンは一つの象徴的な瞬間によって記憶されています。
ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン戦。
ゴールを必要としていた土壇場で、守護神アリソン・ベッカーがゴール前に駆け上がり、ヘディングでネットを揺らしたのです。
GKによる劇的な一撃。
そのゴールがシーズン終盤の無敗街道をつなぎ、リバプールはかろうじてチャンピオンズリーグ圏内を確保したものでした。
しかし、その奇跡的な結末の裏側で、タイトル防衛の夢はすでに崩れていたのです。
このことは、現代フットボールにおいて、センターバックというポジションがいかに重要か!を問いかけるものでもありましたね。

応急処置としての補強
当時、1月の移籍市場が閉まる間際、リバプールはオザン・カバクをローンで獲得し、さらにチャンピオンシップのプレストン・ノース・エンドからベン・デイビスを迎え入れるという対処を施しました。
ですが、デイビスは公式戦で一度もピッチに立つことなくシーズンを終え、カバクも後に移籍金が半額に提示されたにもかかわらず、クラブは完全移籍を選ばなかったという事実があります。
結果、リバプールの最終ラインを支えたのは、リース・ウィリアムズとナット・フィリップスだったのです。
若き2人は勇敢に戦い、多くの称賛を浴びましたが、それは同時に、クラブの対応が理にかなっていたか?を問われるものとなったことも確かでした。
この経験から、リバプールは次第にこう語るようになっていきます。
「最良の補強とは、パニックではなく、長期計画を前倒しで実行することだ」と。
その“答え”として、後にRBライプツィヒからイブラヒマ・コナテが加わったことは、記憶に新しいものがあります。

現在の構造的な不安
2026年1月。
状況は、表面的には当時ほどの絶望には見えないかもしれません。
しかし、よくよく考えてみれば、不安はむしろ積み重なっているに思えてしまうのです。
ファン・ダイクは、来季開幕前に35歳を迎える。
ゴメスは、在籍11年目に差し掛かる。
コナテは、契約満了が迫り、フリーでの流出リスクを抱えている。
19歳のジョヴァンニ・レオーニは、将来を嘱望されながらも、ACL負傷からの復帰を待つ身になっています。
今言っても詮無き事ですが、リバプールは若手の有望株であったジャレル・クアンサーを売却していたこともあります。
「今は回っている。
しかし、このまま先々まで耐えられるのか?」
そう問いかけたくなる陣容であることは否めません。
グエイ問題が示したもの
クリスタル・パレスのマーク・グエイは、リバプールの危機を救う強いピースとして期待が高まっていました。
しかし、そのグエイは、今やマンチェスター・シティ行きが現実味を帯びています。
それは単に、1月に大魚を逃したというよりも、来季のプレミアリーグ優勝を争う直接のライバルに、重要なピースを先取りされた――
そう受け止められても仕方がない出来事ではあります。

なぜプランは前に進まないのか?
ここで浮かび上がるのが、監督人事という視点です。
まさに、私見であり、想像でしかないのですが、今がもしクラブにとって重要な判断をする時であればという前提で言えばです。
センターバックは、戦術と直結するポジションです。
特に、リバプールのように両サイドバックに高い位置を取らせ、平時はCB2人が残るというスタイルであればなおさらですね。
ハイラインを敷くのか、ビルドアップを重視するのか、3バックを採用するのか。
どのタイプのCBが必要かは、監督の哲学そのものに左右されると言ってもいいでしょう。
アルネ・スロット体制をこのまま継続するのか。
あるいは、渦中の人であるシャビ・アロンソという新たなビジョンに舵を切るのか。
この選択が定まらない限り、「誰を獲るか」だけでなく、「どんなタイプを獲るか」を決定できないのではないか?
重ねて申し上げますが、あくまで私の夢想でしかありません。
リバプールには決断の時間が必要なのか?
リバプールは、昨年の夏に、大きな補強を大胆に敢行しました。
フロリアン・ヴィルツ、アレクサンデル・イサク、ウーゴ・エキティケと、攻撃陣に莫大な資金を投じたことは現実です。
それでも、守備の要となるポジションに、決定的な一手を打てていないということが、ファンとしてはしんどいですね。
それは、クラブが何かを決断するかに迫られているのか?
次の時代を託す指揮官が誰なのか。
スロット監督に今後も委ねるにせよ、影響力のある指揮官を連れて来るにせよ、その答えが出るまでは、ある程度の決断は待たなければいけないのか?ということも多少なりと思われます。
終わりに
問題は、リバプールが補強をためらっていることではないのかもしれません。
必要なことは、
「どんな未来を選ぶのか」
を決定するに、今ここで大きな決断が迫られている。
そういうことなのでしょうか。
ウェスト・ブロム戦で、ゴール前に飛び込んだアリソンの姿は、クラブがかろうじて未来をつなぎ止めた奇跡の象徴でもありました。
次に必要なのは、奇跡ではなく、リバプールがどんなチームであり続けたいのか――
そこに答えを出し、センターバックとして必要なピンポイントを探すことなのか?
1月の移籍市場は、まだ数日が残っており、リバプールがどんな動きをするかには注目していきたいですね。
※ちなみに、この1月にリバプールは、アカデミー登録のCBは、新たに連れて来ています。
