
才能は、ときに人を急がせる。
だがリバプールは急がない。
Liverpool Echoが伝えた17歳リオ・エングモアの初インタビューには、クラブが彼を慎重に育てようとしている理由と、本人が歩もうとしている道が静かに映し出されていました。
ゴールよりもチームを語り、出場時間よりも成長を求める。
その言葉は、アンフィールドが愛してきた若者たちの系譜を思い起こさせるものでした。
■「チームのためにできることを続けたい」
劇的勝利の余韻が残る中、エングモアは初めて外部メディアの取材に応じました。(ノッティンガム・フォレスト戦)
ですが、彼の視線は、自分ではなくチームへ向けられていたのです。
「とても良い勝利だった。ハングリーさと一体感を示せたと思うよ」
ゴールが取り消された場面についても語ったエングモア。
「僕はただチームを助けようとするだけだよ。それが僕にできるすべてだからね」
17歳の言葉とは思えない。
そこにはすでに、リバプールの一員としての責任さえ感じとることができます。

■チェルシーを離れた理由
2024年の移籍は衝撃でした。
将来を嘱望された若者をリバプールが引き抜いた形となり、ロンドンでは大きな波紋を呼んだものです。
だが決断を分けたのは資金ではない。
未来だった。
トップチームへの現実的な道。
多額の補強でポジション争いが激化していたクラブとは違い、アンフィールドは段階的な成長を約束したのです。
才能を急がせない。
それがリバプールの答えだったのです。
■17歳とは思えない成熟
ニューカッスル戦での決勝ゴール。
それはプレミアリーグ史上でも指折りの若さでの得点となりました。
しかし本人は浮かれてなどいません。
「毎日たくさんのことを学んでいるよ」
アルネ・スロット監督とのミーティング。
トレーニング映像。
助言をくれるスタッフ。
彼が語るのは成功ではなく学びだったのです。
スロット監督も語ります。
「17歳でこれだけプレーしている選手はいない」
キャプテンのファン・ダイクも認めるエングモア。
「彼はとてもダイレクトだ」
期待は大きい。
それでもクラブは急がない。

■守られる理由
若いドリブラーは、時に輝き、時に揺れる。
だからリバプールは慎重に見守っていると思います。
短い出場時間。
途中投入。
それは制限ではなく、守るための選択だったのではないでしょうか。
「0-0なら少し抑えるね。でも仕掛けるチャンスがあれば行くよ!」
彼はすでに試合の流れを理解しているようです。
■「停滞したくない」
最も印象的だった言葉。
「試合に出なければ停滞してしまうと思っているんだ」
トップチームでの翌日。
彼はU-21でプレーし、ゴールを決めた。
カテゴリーは関係ない。
「出られるならどんな試合でも出たい」
慢心はない。
あるのは前へ進み続けたいという衝動だけ。

■才能は始まりに過ぎない
25歳、26歳、27歳。
完成されたプロフェッショナルたちの中へ飛び込む17歳。
それでも彼は焦らない。
クラブも焦らない。
「もっと監督の信頼を得たい」
その言葉からは、近道を選ばない覚悟を感じます。
アンフィールドが長く愛してきたのは、才能だけの選手では決してありません。
努力を続ける選手こそなのです。
リオ・エングモアは、いまその入口に立っている。
未来はまだ始まったばかり。
出 典
※英『Liverpool Echo』掲載インタビューを参照し構成。
