
膨大な数にのぼるマンチェスター・シティの財務規則違反は、プレミアリーグに深い影を落としています。
その影が落としたものは、闇だと言ってもよさそうです。
近年におけるプレミアリーグの価値を貶めるものという見方さえできることでしょう。
しかし一方で、マンチェスター・シティを擁護する声もあります。
今回は、BBCの記事を参照しながら、擁護する声とそれをどう捉えるべきかを考えてみたいと思います。
シティの金で潤ったクラブがある
シティが財務規則に違反してまで使った金は、多方面にまかれていたわけですが、最も分かりやすいのは選手の移籍金ですね。
シティ擁護派の主張は、シティが金を使うことで、それを受け取ったクラブもあり、結果的に他のクラブも含めてプラスになったのだというものです。
擁護にならない理屈
好きなクラブを擁護したい気持ちは分からなくもありませんが、この理屈は通らないと私は思います。
なぜなら、シティが主導して行ったことであり、金を受け取るクラブとすれば、大きな財務規則違反に繋がっているとは知るすべもありません。
さらに、シティに高額な選手が集まる中、金を受け取る側のクラブは、広く分散をしているということも言えます。
金の使い道は多岐にわたる
財務規則違反をおかしてまでもシティが使った巨額の金。
これは、いろいろな経費を含むものでした。
独立委員会は、クラブが会計上「水増し」していた金額が9億ポンド(約1,800億円)を超えると認定しましたが、そのすべてが移籍金として使われたわけではありません。
クラブには、選手やその他のスタッフの給与、光熱費、保険料、施設・設備にかかる費用、商業関連の経費など、さまざまな支出があるといいます。
マンチェスター・シティが2009年から2018年までの間に選手獲得に費やした金額は約12億ポンドに上り、純支出でも約9億ポンドだった。
この期間では、他のどのクラブよりも多い金額だったとBBCは指摘しています。
この巨額の投資は、シティがイングランドで最も成功を収めるクラブとなるうえで極めて重要だった。
もし、独立委員会が認定したように、クラブが財務規則に違反していることを認識して違反を続けていなければ、その支出額は大幅に少なくなっていたことになります。
シティの資金はどのクラブに多く流れたか
では、マンチェスター・シティの資金は、どのクラブに多く流れていたのか?
上位5クラブを見てみますが、これは2009年から2018年の期間におけるものです。
念頭に置きたいのは、当時の移籍金相場と現在ではかなり金額の相場が変化しており、シティが使った2009年から2018年における金額は、相当大きなものになっているということです。
フットボールにおける移籍には、さまざまな費用が発生します。
選手を獲得するために必要な移籍金が最も分かりやすいものですが、それ以外にも代理人手数料、法務関連の費用、事務手数料、さらには契約時のボーナスなどが発生する場合があると言います。
つまり、マンチェスター・シティが支出した資金は、フットボール界の移籍交渉の舞台裏で働くさまざまな人々や組織にも流れており、そのすべてを追跡することは極めて困難な領域であるということです。
しかし、シティと他のクラブとの間で行われた基本的な資金のやり取りについては分析することが可能。
この後、2009年夏から2018年冬までの間に、マンチェスター・シティが移籍金を支払ったすべてのクラブのうち、受け取った金額が多い順に5クラブを見てみたいと思います。(BBCのリストを参照したもの)
対象となるのはトップチームの選手で、フリー移籍、ローン移籍、アカデミー出身選手は含まれていません。
シティから受け取った移籍金が多い上位クラブ
1 ヴォルフスブルク:ジェコ、デブライネ(£96.5m)
2 モナコ:メンディ、ベルナルド(£91.5m)
3 アーセナル:アデバヨール、コロ・トゥーレ、ナスリ、クリシー(£71m)
4 エバートン:レスコット、ロドウェル、ストーンズ(£63m)
5 バレンシア:ダビド・シルバ、オタメンディ(£62.5m)
マンチェスター・シティが、プレミアリーグで強力になって行く過程で主力を務めた多くの選手が獲得されていたことが分かります。
リバプールのことに触れておくと、該当期間に行われた取引は、ラヒーム・スターリングの移籍で£54.5m。
売った側を一概に責められない
ほらどうだ!多額の資金を得ているクラブがあるではないか!
というのが、擁護派の声ですが、私はそれには疑問を感じます。
まず、シティがたいそれた財務規則違反をおかしているなどとは知る由もなかった。
次に、出したくて出したわけではないという取引だってあった。
フットボールをはじめとするスポーツは、ルールがあるからスポーツと呼ばれるのだと思います。
時に、そのルールが合理的ではないことがあるかもしれませんが、プレミアリーグで言えば他のクラブが守っている以上、「ルールがおかしいから我々は守らない」ということでは、スポーツとして成り立ちません。
今回のシティ事件が落とした影、私なりに思うことは多々あります。
それは、別稿で書けたらと思っています。
いずれにしても、プレミアリーグ、長く続くイングランドフットボールの一時代に起こっていたとされる今回の問題は、フットボールを愛する者にとって、途轍もなく辛いものであると言えるでしょう。
