
アンフィールドで起こったブーイングは、単なる「引き分け」という結果への不満ではなかったように思えます。
リバプールは先制しながらも、サポーターは早い段階からざわついていたとSky Sportsは指摘します。
チェルシー戦で先制したのはリバプール。
しかし、追いつかれる前から漂っていた不安感。
数字にも表れている“迫力不足”。
今、ファンが感じているのは、勝敗以上の「違和感」なのかもしれません。
確かに、リバプールというクラブは常に結果を求められます。
引き分けで終われば、不満の声が出るのも当然でしょう。
ただ、今回アンフィールドに漂っていた空気は、単純な“結果論”だけではなかったように思えます。
試合後、スロット監督はメディアへ向けて、「サポーターは結果で試合を判断する。だからブーイングは避けられないものだった」と述べました。
しかし現実には、サポーターがざわつき始めたのは、試合終了間際からではなかった。
リバプールは先制していました。
それでも、スタジアムにはどこか不穏な空気が流れていた。
「このまま押し切れる」という期待感よりも、「流れが危うい」という不安感の方が強くなっていったように感じます。
チェルシーに押し込まれる時間帯が増え、リバプールは徐々に後退していく。
スロット監督自身も、「引いて守ることが狙いだったわけではない」と試合後に説明しています。
つまり、意図的に守勢へ回ったわけではないのでしょう。
しかし問題は、“そう見えてしまった”ことです。
かつてのリバプールには、たとえ試合展開が苦しくなっても、押し返していく熱量がありました。
走る。
奪い返す。
前へ出る。
アンフィールドの空気ごと相手を押し込んでいく。
もちろん、スロット監督の志向そのものを否定したいわけではありません。
ボール保持を高め、試合をコントロールし、安定感を持たせる。
その考え方自体には理解できる部分があります。
ただ、その過程で、リバプール最大の武器だった迫力、推進力、スピード感まで薄れてしまったとしたら、サポーターが違和感を抱くのも自然でしょう。
そして、その違和感は感覚論だけではありません。
この試合でのリバプールのxG(ゴール期待値)は「0.56」。
これは今季最低クラスの数字であり、アンフィールドでは2021年以来の低水準だったと伝えられています。
しかも、2021年当時は新型コロナによる無観客開催でした。
そう、熱いサポーターの後押しがなかった環境での試合だったのです。
つまり、満員のアンフィールドで、これほど攻撃の迫力を欠いた数字が記録されたこと自体が異例なのです。
さらに、今季のリバプールはプレミアリーグのxGランキングでも7位。
スロット監督は今季、「決定力不足」に触れることが少なくありませんでした。
しかし、数字を見る限り、問題は“決め切れない”ことだけではなく、“決定機そのものが減っている”ことにもあるのでしょう。
だからこそ、アンフィールドは早い段階からざわついていた。
今回のブーイングは、「1-1」という結果への怒りだけではない。
苦しくても走る。
押し返す。
食らいつく。
そうした“リバプールらしさ”が少しずつ薄れゆくことへの不安。
サポーターが憤っていたのは、むしろそこだったのかもしれません。
大切なのは、チームが失いつつある求心力をどう取り戻していくかです。
その過程において、多少の痛みを伴うものであっても、サポーターは待つ。
それくらい、リバプールのサポーターはチームを愛している。
私にはそう思えます。
